相続について(ゴミ屋敷編) 前編

2022年9月25日
相続した実家がゴミ屋敷だった場合の対処法とは?
相続放棄の注意点も解説

「相続を受けた実家に久しぶりに帰ったら、ゴミ屋敷になっていた」という話は、ゴミ屋敷が増え続けている現代では、珍しくありません。
社会問題にもなっているゴミ屋敷は年々増加傾向にあり、特に60代以上の高齢者は家をゴミ屋敷化させた人の半数を占めています。(※「大阪市のいわゆる「ごみ屋敷」の現状について」より)

高齢者にゴミ屋敷が多いということは、自分の両親もゴミ屋敷に住んでいる可能性が高いということ。自身の知らぬ間に、両親が足腰を悪くしていた、認知症が進んでいた…といった様々な要因によって、ゴミ屋敷化は引き起こされてしまうのです。
今回は、相続した実家がゴミ屋敷だった場合の対処方法について解説致します。
相続放棄という選択肢もありますが、メリットとデメリットがある為、慎重に選択をしなければなりません。状況によってどのような対応が最も適切なのかが異なるため、この記事を読んでより良い選択をするためのご参考になりましたら幸いです。
実家がゴミ屋敷だとわかった際にやるべき3つのことまず、実家がゴミ屋敷だとわかった際にやるべきことは3つあります。
どれも早めに実施することが重要なので、後から後悔することが無いよう、すぐに取り掛かりましょう。
 

1.ゴミ屋敷と相続に関する資産や負債の現状を把握

実家がゴミ屋敷だと知った際、放置するのは最もしてはいけないこと。何故なら、相続放棄をできる期間は、相続の事実を知ってから3ヵ月までと決められているからです。
相続放棄をしたいと思ってもできなくなってしまうリスクを避けるため、早めに状態を把握できるよう、行動に移しましょう。また、ゴミ屋敷だけでなく、借金や未払いの請求が無いかといった思わぬ負債に関しても早急に調査し、現状を知ることが望ましいです。
反対に、認識していない資産をお持ちのケースもあります。その場合も、相続税を申告する必要が生じるということは念頭に置いておいてください。
思わぬ負債や資産を知った場合は焦って断片的な情報だけで行動をするのではなく、士業の方に相談をしましょう。専門家に相談し、相続に関する現状の把握を早めにしておくことで、しっかりと準備を進めながら、安心して対処することができますよ。
 

2.ゴミ屋敷清掃にかかる費用と期間の算出

相続を受ける実家がゴミ屋敷だと知った場合はまず、ゴミ屋敷清掃にかかる費用と期間を算出しましょう。
ゴミ屋敷の清掃は素人が行う場合は、状態にもよりますが20日〜1ヵ月近くかかる場合があり(戸建ての場合は2ヶ月以上かかる場合も大いにあります。)膨大な時間が必要となります。
ゴミ屋敷の場合、あらゆる種類のゴミが混在し害虫の発生や臭いの発生があるケースが多く、慣れないゴミ屋敷の清掃作業は体力を使いますし、何よりも精神的に負担となるため、費用がかかったとしても出来る限り専門業者に頼むことをおすすめします。
ゴミ屋敷清掃にかかる費用と期間は、実際に現場を見てみないと正確な判断ができません。
散らかっているゴミの種類や放置されていた年月によっては、悪臭や害獣が発生している可能性もあり、状況によって清掃内容が異なります。
ゴミの内容が、燃えるゴミが多くを占める場合と粗大ごみが多くを占める場合とでは処分費用が大きく違うため、当然ゴミ屋敷清掃にかかる費用も変わってきます。
ですので、ゴミ屋敷清掃のプロが家の現状をその目で確認をしてくれて、現地で見積もりをしてくれる専門業者を選ぶことは重要です。
そうすることで、見積もりと実際の金額の差異を出来る限り減らすことができますよ。
 

3.ゴミ屋敷清掃を実施するか、相続放棄をするか判断する

相続に関する情報とゴミ屋敷清掃に関する情報を集めることができたら、ゴミ屋敷清掃を実施するか、相続放棄をするか判断を行いましょう。
財産が負債よりも多い場合は、ゴミ屋敷清掃にかかる費用を立て替えたとしても相続手続きが完了した際に、結果として財産が多く残る可能性があります。相続する財産がプラスの場合は遺産相続をした後に、ゴミ屋敷清掃を行いましょう。
もし、負債が財産よりも多く、マイナスになることがわかった場合は相続放棄を選択肢に入れなくてはなりません。
相続放棄をすると、ゴミ屋敷の清掃を行う義務が一旦はなくなりますが、相続放棄をした場合は全ての相続可能な遺産を放棄しなくてはなりません。
 
両親が遺してくれた遺産を全て放棄しなくてはならないとなると、簡単には決断できない為、相続をするか相続放棄をするかは、慎重に判断をしなくてはなりません。